非電化のくらし

2008年6月3日、那須塩原市議会「創生会」主催で、発明家、藤村靖之先生の講演を聞いてきました。
演題は環境に優しい「非電化製品」。
藤村靖之先生のことは以前からお聞きしたことがありましたが、 那須に移住されていたとははじめて知りました。
先生は2007年6月1日に那須に移住したそうです。
移住の理由は広大な土地にアトリエを作りたかったからだそうです。1千数百坪の広大な土地に「オール非電化」の家をつくるのが目的とか。

現在は急速な勢いで「オール電化住宅」が増えているそうです。その勢いは携帯電話の普及率並と云いますから、驚きです。
住宅でのエネルギー消費は、「調理」「給湯」「暖房」3つの用途に分類できます。そのエネルギー源はガス・石油・電気。
オール電化住宅がこんな勢いで普及するのは、他に選択肢がないため。つまり、非電化というのは、電化に対するもうひとつの選択肢を提供するものです。

先生は「オール電化住宅」を建てた人にこんな質問するそうです。
「あなたは原発がお好きなんですね?」
するとみんな、「そんなことはない」と云うそうです。
「便利で、安全で・・・」とオール電化住宅選択の理由は、それなりですが、その結果としてその電力をまかなうために、どれほどの原子力発電所が必要になるかに多くの人が気づきません。
日本はCO2削減策として原発推進の立場をとっていますが、それは原発1基に3500億円という建設費の経済効果が絡んでのことだといいます。ところがそうした経済の効果は地方には回っていきません。
非電化はローカルエネルギーを利用し、地域に雇用と経済効果を及ぼすと、藤村先生は云います。
日本はドイツの2.5倍、イギリスの1.7倍の電力を消費しています。しかし、日本人はドイツ人の1.5倍、イギリス人の1.7倍、幸せだろうか?と藤村先生は問います。
ドイツ人は日本人に比べ、テレビを見ている時間が1/4、照明に使う電力が1/4だといいます。
つまり、つまらないテレビをだらだら見ている時間は実は本当の幸せではない。明々と電気をともして、夫婦が顔をまじまじと見えるのはけっして幸せではない。全体照明を少なくし、ポイント照明を明るくして、見えなくて良いものは見えないことで、夫婦が幸せで円満な家庭生活を送れるかもしれないと、ユーモアたっぷりに、省エネの効果を説明します。

最新鋭のエレベータなど、誰も見たいと思わない。だけど、電気を使わない重力エレベータへは世界中から人が集まって来るといいます。
片方に車をつけ、そこに水を入れ、その重みで、人が載っているかごを持ち上げる、降りるときには、下に下がった車の水を抜いて、車が上がり、人が降りる。こんな単純なエレベータを見るために、世界中から人が集まり、カゴに乗り、いよいよ上がるときには、歓声が上がります。

野菜の貯蔵など、電気のない昔から行ってきたこと。それが今では野菜も米も冷蔵庫なしでは貯蔵できないと考えている。
こうして、お話をお聞きしていくと、私たちの生活がいかに電気付けで、こうした技術が実は人の知恵や発想、喜びを奪ってしまっていたのだと、あらためて気づかされます。

省エネとか、地球にやさしいなどという、歌い文句の裏に、拡大経済の考え方がちらついていますが、本当の意味の持続可能な社会というのは、限りなく電気の消費を少なくした中から、地域の元気を伴って、姿を現し始めるのでしょう。
だから那須を選んだというのが、納得できました。
そして、よく那須を選んでくださったと、うれしくなりました。

非 電 化 工 房 
めざせ! オール「非」電化住宅